「じゃあね。行ってくるわよ」
 二人が一緒に行動する時間も、今日で一度、終わりを告げる。
 決して仲間になっていたわけではないが、それでも共に戦った仲であることに変わりはない。しかし、今日、まさにこの時から、再び明確に敵同士として争うことになる。――直接対決があり得るかどうかは、まだ、わからないにしても。
 アリスは努めて冷静な声で言った、つもりだった。彼女に、表情を見られないように、半分背を向けながら。
「おい」
 そのまま、去ってしまいたかった。決意が揺らがないうちに。
 だけど、彼女は、それを許してはくれない。
「言うことは、それだけじゃないだろ?」
「……何のことかしら」
 声が少し震えている。自分でもわかってしまうのが、余計に憎憎しい。もちろん、彼女にだってバレていないはずがない。
 背中のほうから、彼女が大きくため息をつく声が聞こえた。
 ああ。振り返らなくても、今彼女がどんな顔をしているか、想像できてしまう。一体何度、そんな表情をさせてしまってきたのだろう。思い返せば、きりがない。
「アリス」
 その声が、アリスを呼ぶ。アリスの名前を呼ぶ。
 それはとても残酷な呼びかけ。それだけで、戦いに赴く気持ちが一気に溶けて、今すぐ振り返って、ずっと言えないでいる本当の気持ちを叫んでしまいたくなるほどの、誘惑。
 戦いは待ってはくれない。振り向くものか――

 ふわり、と。
 頬を撫でる、長い髪の感触。
 あ、と思う間もなく、いつの間にか彼女は――愛しい人間の魔法使いは、すぐ隣に立っていた。
「たまには、素直になれよ。――こんなときとかさ」



「あ……」
 ダメだ。
 もう、抑えなんてきかない。
 引き金を、引かれてしまった。
「魔理沙……!」
「おっと。続きの言葉は、終わってから聞かせてもらうぜ。しっかり勝利してからな」
 魔法使い魔理沙は、そう言って、にかっと笑った。
 ああ。負けられなくなってしまった。
 ……言葉は無く、しっかりと、頷く。彼女の目を見つめながら。
 魔理沙もまだ頷き返して、アリスの背中をばし、と、遠慮なく叩く。
「行ってこい。勝てよ……アリス」







がんばれアリス! 超がんばれアリス!

あとおまけ。永夜抄のあの台詞から。
解説はいたしません。謎ですね!




最後の支援追加!
みんな投票には気をつけよう! そして落ち着け自分! 選択肢の位置がおかしい!
なんにしてもアリス初戦突破おめでとおおおおおおおおぉぉぉぉ!!